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秋の恵み

 都会での生活ではめったにお目にかかれないけれども、この地では当たり前に手に入る食材を楽しんでいます。

<海の幸>

「これ、今が旬だから。」とお隣りからもらったワタリガニ。勧められるままに、半分に切ったものをお湯に入れて、味噌を溶いて、みそ汁に。

カニの出汁が出て、本当においしい。

本当は身は食べないものらしいけれども、カニなど食べつけない私はせせってしまう。一か所から小指の先ほどの身しか取れないものの、濃厚なうまみが舌の上を駆け抜けていく。たぶん、これはこの少ない身だから美味しいのだろうな、、、。ほお張るほどの量があったら、濃すぎてくどいんじゃないんだろうかと、負け惜しみのように思いながら、いただきました。

<山の幸>

こちらは山の恵み。熟柿もザクロも人の庭に生えているものからの頂き物。

ザクロは氷砂糖とホワイトリカーでザクロ酒に、熟柿は手で剝いて頂きます。ゼリー状の柿はあまりにもおいしくて、気が付くと5,6個おなかの中に消えている。

そう言えば、移住前にこの地を訪問した際にうかがった農家さんから、前年秋に冷凍してあった熟柿をごちそうになり、こんな恵みを自分も享受したいと思ったのが、決意の一つの要因になったなと思い出した。熟柿の甘さは危険ですね。

<池の幸>

こちらは一風変わった秋の恵み。

幼少のころ、アイヌの昔話にはまっていた頃から食べたかった一品。アイヌ語ではぺカンペと呼ばれる菱。

この辺りの貯水池には、わしゃわしゃ生えていたので、ご近所の老人に聞いてみたら、幼い頃には水遊びのついでに摘んで、おやつ代わりに食べたとのこと。

水利権者に断りを入れてからゴムボートで漕ぎ出し菱採り。この実は亀も好むらしく、時期を逃すと、亀に食われてしまうそうだ。幸い、今回は亀に出し抜かれることなく、潤沢にいただくことができた。

試しに摘みたてのものの皮をむいて口に含むと、さっぱりとした甘みがする。生の栗にも似ているが、もっとみずみずしい。

 

だがこの菱の実、その昔には忍者がこれを乾かして追っ手を撒くために使った(まきびし)ということだから、とげが鋭い。なかなか調理するのも大変である。塩ゆでにして、皮をむいて(この時点で冷凍保存可能)、そのまま食べてよし、炒め物の具材にしても良し。言ってみれば中華料理で使うクワイに似ているかなぁ、、、。

菱を食べるという、長年の夢がかなったのだが、想像以上においしいので、しばらくレシピを研究してみようと思う、今日この頃。