畑作業も3年目が終わり、地域資源をより多く使うことができるようになってきた。
機械や設備、化成肥料などに頼らない在来農法だと、農事歴などを含む経験則の伝承に加えて、その地域地域で手に入る資源の所在と利用方法を習得する必要がある。近辺で在来農法を継いで来た方と知り合えていないので、もっぱら独学だ。しかし、大体の書籍に記載されていることはその人個人の経験の域を出ないものが多く、その技術がどのような場合(風土、栽培履歴)に適用可能なのか、不確かなものがほとんどなので、信頼できる書物を見つけるのは一苦労。今のところ比較的信頼度が高いと感じているのは、木嶋利夫さんの「連作のすすめ」。栽培業界ではよく知られている連作障害という現象を取り上げて、果たしてこれは何故に起こる事象なのか、実際に起こるのか、長期的なインパクトはどのようなものかを、他の研究を引用しながら丁寧に説いた書物。その木嶋氏の他の著作に伝統農法技法を紹介したものがあるのだが、その一つを今回試してみることにした。 なす、スイカに向いているとされる「落葉床植え」というものだ。畝に50㎝程の溝を掘り、そこに落ち葉をぎゅうぎゅう詰めて、その上に土をかぶせ、ナスを育てるというもの。
実は静耕舎では、今までナスをきれいに作れたことがない。他のナス科の作物はうまくできるので、その差はナスが水好きであることにあるのだと思っていたのだが、この本を読んでナスが深く根を張る性質に原因があるのかもと思いあたった。作付けしているところはもともと田んぼとして造成されていたので、土下20㎝程で堅く締められた礫の層があるのだ。確かに他の根を深くはる作物であるオクラやスイカの成りもいまいちだ。 というわけで、来期は根張りを確保するためのこの「落葉床植え」技法。50㎝も溝を掘れないので、むしろ落ち葉の上に畝を積み上げる形になってしまったが、ぎゅうぎゅうに落ち葉を踏み締めながら詰めていく。
ちなみに8mほどの長さの畝に詰めた落ち葉の量は、軽トラの荷台に二杯。それでもいっぱいにならないので、一部伐採した木の丸太も詰めてみた。果たしてこの丸太が吉と出るか凶と出るかは楽しみなところ。中長期的には良い効果を上げるんじゃないかと思っているのだが、果たして?