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ワケワケ動物ランド 再び

 ワケワケ動物ランドと題して日々日々身の回りに現れる動物たちについて書いたのは去年のこと。今年もさらにいろいろな動物たちに新たに出会った。

フクロウと出会った件については既に書いたが、このフクちゃんのエサを探し求める過程で、セトウチサンショウウオなるものの卵(写真はその後孵化し、前後の脚も生えたもの)を見つけた。天然記念物のオオサンショウウオとは異なり、こちらは育っても20㎝程度なのだが珍しいことには違いない。卵が孵化するのを待ち、試行錯誤の末にミジンコ、赤虫、イトミミズなどが好物であることを確認し、脚が生えて陸に上がるまで見届けて、野生に返した。飼育中は生餌集め、水替え、さらにはミジンコ飼育などに追われる日々であったが、これらの生物を理解する楽しく貴重な経験だった。おそらくは自分の田んぼに冬も潅水していたことが生息に適した環境に整えることにつながり姿を見せてくれる結果になったのだろうと思うのだが、山肌の落ち葉の陰にこんな生き物が住んでいるのかもしれないと思うと、ますます山の生命力を強く感じるようになってしまう。

8月下旬には、この集落にコウノトリが訪れた(写真は、後述S氏の撮影のもの)。自身は知らなかったのだが、隣県の豊岡市では一度日本で絶滅したコウノトリの繁殖・放鳥に取り組んでおり、その中の一羽がこの集落を訪れ、しばしの滞在を楽しんだようだ。世界でも2000-4000羽しか生息していないコウノトリは全国的なネットワークにより見守られ、追跡されている。個人的には、若かりし頃にンゴロンゴロ自然保護区で出会ったクロサイよりも感動した。自分の生活圏に、こんなに希少な生物がフラッと現れるとは、、、。

 動物たちとの出会いが豊かになったのは、少しずつ観察眼が養われて出会いそのものに気づくようになったこともあるとは思うのだが、やはり、ここ二年ほどお付き合いのあるSさんに拠るところが大きいように思う。Sさんはとある昆虫の専門家であるのだが、それのみならず生物全般に詳しい。さらに言うと、自然のみならず、和気町内の歴史・文化にも造詣を深めておられる模様。個々の生物の話は、ともすれば雑学的なトピックに陥りがちなのだが、その裏に学際的な知識があるので、話に深みがあって面白い。

 先日都市部から子どもたちが当舎に泊まりに来た際に、一緒に周辺の川辺や農道を散歩してもらえる機会があった。子どもたちは、自然観察というよりも虫取りや魚捕りに意識を向けているのだが、各動物の生態や生存戦略の説明を加えながらうまく捕まえる方法を示唆したり、あるいは一緒に考えさせたり、ある時はふと風に揺れる木々の葉を見せながら形態学的な解説をしてみたり、と聞いていて面白い。今は亡き千石正一さんや、盛口満(ゲッチョ)さんを彷彿とさせる、和気の「ネイチャー・ナビゲーター」である。いつか、このSさんをあっと言わすような動物に出会えないかと目を皿のようにして周りを観察している毎日である。